ハマチのあとに掛かった正体不明の大物|沖ノ島周辺で30分の攻防、姿は見られず

オフショアジギング

ハマチのあとに掛かった正体不明の大物|沖ノ島周辺で30分の攻防、姿は見られず

2025年5月1日。

この日は、いつものようなジギング便ではありませんでした。

宿毛から出船する、エサ釣りとサビキを中心とした沖ノ島周辺の五目釣り便。そこへ後輩と二人、ジギングで同乗させてもらった少し特殊な釣行です。

釣り上げたのは、腹をパンパンに膨らませた約70cmのハマチ。

それだけでも十分うれしい一尾でした。

しかし、この日の記憶に最も強く残っているのは、写真に残ったハマチではありません。

そのあと海底付近で掛け、約30分間にわたって駆け引きを続けながら、最後まで姿を見ることができなかった正体不明の大物です。

今回は、釣り上げた魚よりも、獲れなかった一尾の方が忘れられない釣行となりました。

ジギング船が空いていない。そこで船長へ相談

この日はジギングへ行きたかったものの、空いているジギング船が見つかりませんでした。

そんな中、普段からお世話になっている仲の良い船長が、沖ノ島周辺へ向かうエサ釣り五目便で、あと二人募集していることを知りました。

そこで船長へ電話をして、

「後輩と二人、ジギングで乗せてもらえんやろうか」

と相談してみました。

船長の返事は、いつもの気さくな調子で、

「かまんよー」

とのこと。

ただし、今回はあくまでエサ釣りが中心です。

「エサ釣りメインやき、いろいろなポイントには回れんかもしれんで」

という条件も、あらかじめ伝えられていました。

それでも、沖ノ島周辺でジグを落とせるなら十分です。

こうして、エサ釣りのお客さん約6人に、ジギングをする自分と後輩の2人が加わる、少し変わった形での釣行が決まりました。

朝5時、宿毛から沖ノ島周辺へ

出船は朝5時頃。

天候は晴れで、風も波も穏やかでした。

宿毛を出て、沖ノ島周辺までは1時間弱。船尾の左右に分かれ、自分は左舷側の一番後ろ、後輩は反対側でジギングを始めました。

この日の本命は、もちろんカンパチです。

一方の後輩は、普通にジギングを続けていましたが、なかなか魚からの反応を得られません。

エサ釣りがメインの便なので、ジギング船のように細かくポイントを移動するわけではありません。釣り自体がやりにくいわけではないものの、ジギングで魚に出会えるチャンスは、どうしても限られると感じていました。

そこで後輩には、自分が持ってきていたジギングサビキを使ってもらうことにしました。

すると、丸々と太ったサバやチカメキントキ、小型の根魚などが次々に釣れ始めます。

周囲のエサ釣りの方々も、サバを中心に多くの魚を釣っていました。

後輩は結果的に、いろいろな魚と出会う五目釣りを満喫。

その隣で、自分だけは変わらずカンパチを狙い続けていました。

高速回収中、船のすぐ近くでハマチがヒット

朝一番からしばらくの間、自分のジグには反応がありませんでした。

そんな中、ジグを高速で回収していると、海面から15mほどのところで突然、

ガツン。

と強い衝撃が伝わりました。

ヒットした場所は、船からすぐ近くです。

魚を寄せてきたというより、掛けた瞬間から魚の姿が見えるほどの距離でした。

ちょうどその頃、船長も魚探を見ながら、

「何か群れが通った」

と話していました。

その群れの中の一匹が、高速で逃げるジグへ反応したのかもしれません。

魚は約70cmのハマチ。

ドラグを強めに設定していたこともあり、ファイトそのものは意外なほどあっさり終わりました。

それでも、それまでノーヒットだったため、魚を手にした瞬間は素直に、

「やったー」

という気持ちでした。

しかも、その日はエサ釣りのお客さんの中に女性の方がいて、ちょうど自分の近くで釣りをしていました。

ジギングで魚を掛けたところも見てもらえたので、少しくらいは格好がついたかもしれません。

もっとも、そのあとに訪れる本当の勝負では、そんなことを考える余裕は完全になくなるのですが。

本命を求め、再び海底付近を探る

ハマチを釣ることはできましたが、本命はカンパチです。

その後もジギングを続けました。

使用していたタックルは、普段からカンパチ狙いで使っている組み合わせです。

使用タックル

  • ロッド:シマノ オシアジガー∞
  • リール:シマノ オシアジガー Fカスタム
  • メインライン:PE3号
  • リーダー:18号
  • ジグ:ARMS EZ-DAGGER 300g
  • カラー:オレンジドットグロー

水深は100m以内。

海底から10mほどまでを意識しながら、スローピッチでジグを動かしていました。

そして午前10時から11時頃だったと思います。

ジグを誘い、フォールへ移した直後。

落ちていくはずのラインが、不自然に止まりました。

スローピッチジギングでは、理想的ともいえるアタリです。

すぐに合わせを入れた瞬間、手元へ返ってきたのは、これまでとは明らかに違う重い手応えでした。

「これはデカい」

そう感じ、すぐ後輩へ、

「デカいのきたぞ」

と伝えました。

最初の突っ込みを指ドラグで止める

合わせを入れると、オシアジガー∞が大きく曲がりました。

ただし、このロッドは強く曲げ込んで耐えるというより、ロッドを過度に曲げすぎず、リールとラインの強度も使いながら魚と向き合うタックルです。

そのため、最初に魚の重さを確認した後は、ロッドを必要以上に立てずにファイトしました。

魚は下へ向かって力強く走ります。

青物のような速い走りではありません。

スピードよりも、重量と力で押し切ろうとするような、トルクのある引きでした。

そのまま走らせれば海底へ戻られる。

そう判断し、親指でスプールを強く押さえ、指ドラグも使って必死に止めました。

少しラインは出されましたが、何とか最初の走りを止めることに成功。

そこから力を込めて巻き続け、魚を海底から10mほどは浮かせられたと思います。

この時点では、

外れさえしなければ、獲れる。

そう感じていました。

一番危険な海底付近から引き離すことができ、少しだけ安心してしまったのかもしれません。

再び強くなる引き。そして魚が動かなくなった

海底から魚を引き離し、そのまま巻き上げていた時でした。

突然、魚の引きが再び強くなりました。

もう一度止めようとしましたが、先ほどまでとは様子が違います。

下へ向かって、ゆっくりと、それでも力強く進んでいく。

そして、ついに魚が動かなくなりました。

「あー、動かん」

完全に根へ入られた感覚です。

自分の釣り座は左舷の一番後ろ。

振り返ると、ちょうど魚探が見える位置でした。

画面を確認すると、海底には平坦な場所ではなく、底から約20mも立ち上がる山のような駆け上がりが映っています。

「こんな地形やったんか……」

あれほど大きな駆け上がりがあると事前に分かっていれば、魚を浮かせたあとも安心せず、もっと強引に巻き続けていたと思います。

しかし、気づいた時には魚はすでに根の中でした。

ロッドには、まだ生命感が残っていた

根に潜られたからといって、すぐに諦めたわけではありません。

ラインを張ってみたり、反対に緩めたり。

魚が自分から根の外へ出てくる可能性に賭けながら、何度も駆け引きを続けました。

ロッドには、

グングン。

ゴンゴン。

と、魚が動いている感触がはっきり伝わってきます。

姿は見えなくても、魚はまだそこにいる。

魚が生きて動いている以上、可能性は残っていました。

周囲では、エサ釣りをしていた皆さんも仕掛けを回収してくれました。

船長も船を動かし、ラインの角度を変えながら魚を根から出そうとしてくれます。

近くまで来て、様子を見守ってくれた方もいました。

それでも魚は出てきません。

時間にすれば、約30分。

カジキと長時間ファイトした時ほど身体が限界に近づいたわけではなく、体力にはまだ余裕がありました。

それだけに、何とか姿だけでも見たいという気持ちは強くなっていきました。

消えた生命感。魚は根の中で外れていた

何度もラインを張ったり緩めたりしているうちに、ロッドから伝わっていた生命感が消えました。

先ほどまで感じていた、グングン、ゴンゴンという動きがありません。

「あー、もうおらんな」

魚はすでに外れ、ジグかリーダーだけが根に残った状態へ変わったのだと思いました。

魚がいないと分かっていても、すぐには気持ちを切り替えられません。

最後はラインを真っすぐ引っ張り、根掛かりを切りました。

切れたのはリーダーです。

回収できた部分は根ズレでザラザラになり、もうそのまま使える状態ではありませんでした。

魚がどれほど激しく根へ擦り付けながら動いていたのか、その傷だけでも伝わってきました。

結局、正体は分かりません。

船長の見立ては、

「クエか、大型のハタ類やろうね」

というものでした。

自分自身も、大型の根魚だった可能性が高いと感じています。

少なくとも、カンパチや一般的な青物のような引きではありませんでした。

ただし、魚の姿を見ていない以上、魚種を断定することはできません。

それでも自分の中では、今も、

「あれはクエだった」

ということにしています。

その方が、少しだけ夢があるので。

リーダーを組み直し、再びジグを落とす

ラインブレイクの後は、リーダーを組み直しました。

あれほど悔しい思いをした直後ですが、そのまま釣りをやめるという選択肢はありません。

再びジグを落とし、最後までカンパチを狙い続けました。

この日の自分の釣果は、ハマチとサバ。

後輩はジギングサビキを使い、サバ、チカメキントキ、小型の根魚など、文字どおり五目釣りを楽しんでいました。

午後2時頃に帰港。

魚の顔を見るという意味では、ハマチを釣ることができています。

決して何もなかった釣行ではありません。

それでも帰港する頃、頭の中に残っていたのは、釣り上げたハマチではなく、海底の根へ消えていった正体不明の一尾でした。

あの時、もっと強引に巻いていれば

今回のファイトを振り返ると、最初の走りを止めることはできました。

指ドラグも使い、魚を海底から約10mは浮かせています。

だからこそ、

そこで安心せず、もっと強引に巻き上げるべきだった。

という反省が残りました。

魚探に映っていた、底から約20m立ち上がる駆け上がり。

あの地形を先に知っていれば、ファイトの仕方も変わっていたと思います。

魚を浮かせたから大丈夫なのではなく、根を完全に越えるまでは、わずかな隙も与えてはいけない。

頭では分かっていたつもりでも、実際の大物との勝負では、その一瞬の判断が結果を分けます。

もちろん、どれだけ考えても、今となっては答えは分かりません。

さらに強く巻いていれば獲れたのか。

無理をすれば、その前にラインが切れていたのか。

魚が何だったのかさえ、確かめることはできませんでした。

だからこそ、この一尾は今でも記憶に残っています。

今回は、魚の勝ちだった

ハマチは釣れました。

魚の顔も見ることができました。

それでも、この日の記憶に一番強く残ったのは、姿を見ることすらできなかった一尾です。

最初の走りは止めた。

海底からも引き離した。

ロッドには長い間、確かな生命感が残っていた。

だからこそ、あと少しだったような気がして、悔しさが消えません。

しかし、海底の地形を使い、最後まで姿を見せずに逃げ切ったのは魚です。

今回は、完全に魚の勝ちでした。

釣り上げた魚だけが、忘れられない魚になるとは限りません。

姿を見られなかったからこそ、今も心の中で大きくなり続けている魚もいます。

次に同じような一尾が掛かった時は、今回のように安心しない。

根を完全に切るまで、一気に巻き続ける。

いつかもう一度訪れるかもしれない勝負のために、この悔しさは忘れずに残しておこうと思います。

今回使用したタックルは、

レイジー愛用タックルに記載しています。

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